うずまきに憑りつかれてしまった、黒渦町という地方都市の物語。
……設定からして、荒唐無稽です。
ですが、緻密な絵柄とシュールなセリフの数々が、設定の馬鹿馬鹿しさを吹っ飛ばしてくれます。
そして、ホラーとギャグの境界線をひた走る展開にも、思わず引き込まれます。
「もうお腹いっぱい」と感じつつ読み進めた先にあるのは、混沌と壮大さを煮詰めたような結末。
主人公の桐絵ちゃんと、恋人の秀一君が最後に見せた穏やかな表情も含めて、すがすがしい気持ちにすらなります。
ホラー漫画のはずなのに。
個人的には、秀一君のエキセントリックさもツボでした。
誰よりも早くうずまきの呪いに気づき、また誰よりもうずまきを忌み嫌うという、常識人で切れ者のような立ち位置なのに。
うずまきに対する、観察眼や理解力も冴えまくっています。台風の心情まで察しちゃうなんて、君はうずまき博士なのかい?
回を追うごとに加速していく、彼の世捨て人感にも、ついつい着目してしまいました。